過払い裁判は誰にだってできるのものです
もう20年以上も前だが、キャッシングもできる大手流通業界の
クレジットカードを持っていた。
世はピークを過ぎたとはいえバブルがはじける前。
若いくせにブランドもののスーツに身を包み分不相応なワインを
飲んでるような輩もいたが、自分にはクレジットしてまで買いたい
ような物などなく、せっかくのカードもほとんど出番はなかった。
唯一、キャッシングを除いては。
深夜の飲み会ハシゴ。もう1軒行こうと盛り上がっている。
財布を見たら、お金がない。でもこのまま自分だけ帰りたくないっ!
そんな時、近くにATMを見かけるとすかさずカードでお金を「おろした」。
もはやお金を「借りる」感覚ではなく、
マイバンク、マイアカウントから「引き出す」感じであった。
だからだろう。うっかり返済を忘れるのだ。
人から借りているのなら常に返すことを意識している。
しかし相手はATMだ。
いつでもどこでもカード1枚で気軽にキャッシュを手に入れられるから、
後ろめたさも追いかけられる感じもまるでなかった。
もちろん過払いなど知る由もなかった。
もしかしたら過払いが発生していたかもしれないが、とっくの昔に
カードを廃棄したので、今となってはもう後の祭である。
ましてやその過払いのせいで裁判沙汰にまでなることがあろうとは、
自分のような呑気なカード使用者にとっては晴天の霹靂である。
返してもらえて当然の過払い金を返してもらえず、半額で和解だの、
今ある借金の返済をチャラにしておしまいだのと言われ、挙句、
出るとこ出たら弁護士費用でかえって高くつきますけどいいんですかぁ?
などと脅しまがいの文句まで言われたら……。
どっぷりへこむよね。
元はと言えば、便利だからとカードを使いまくった自分に非がある。
それがわかっているから余計に反論できない。
でも、その更にもとはといえば、いつでもどこでも気軽にカードローン!
をすすめたそっちが悪いんじゃないか!
って言ってやりたいよね? 言えないけど。
こうして理不尽にも、生涯行くことなどないと思っていた法廷の場に
出ざるを得ない状況に陥ってしまったら……、
そんなのも「有り」だと思ってやりきるしかないじゃないか!
そうと決めたからにはまず勉強。
過払い対策の本を1冊精読し必要に応じてネット等からも資料を収集。
訴状等の書き方はその対策本にもネットにも雛形があるので活用すればよし。
勉強すればするほど自信になるし勝利に近づく。
みんなこの道を通って裁判に望んでいるのだ。
みんなにできて「あなた」にできないことはない。
それでも第1回の口頭弁論は緊張するだろう。
だが恐れるなかれ。テレビドラマでやっているような刑事裁判と違い、
民事裁判の過払い金訴訟は互いの陳述を書類を見ながら述べ
(被告は欠席の場合もある)るだけ。
和解に至らなければ次回の日程を決めて終わり。
ものの10分程度ですむ。
裁判官もこちらの心情をくみ取ってくれるので、決して四面楚歌ではない。
間違ったことをしているわけではないのだから、
目標の満額を取り戻せるまで堂々と自分の正当性を述べて行こう。
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