自己破産で失うもの、残るもの
自己破産とは、借金を抱えた人が支払不能となり、裁判所にその旨を申立て
て借金を免除してもらうことである。認められれば借金は帳消しになるが、同時に自分の財産を失う。自己破産後の生活を立て直すためにも、いったい何を失って何が残るのか、そのあたりを整理してみたい。尚、下記項目は破産者に財産があり、破産管財人がつく場合である。
(1)自己破産によって失うもの
@社会的信用
A本人名義のマンション・家屋・土地
B20万円以上の自動車、バイク
C高額な宝石、美術品など
D解約返戻金が20万円以上の生命保険
※B〜Dの総額が99万円以下の場合、保持可能
E自己破産のために必要な費用(約30万〜60万)
(2)自己破産によって一時的に失うもの
@長期の旅行に行く権利(破産手続き完了まで)
A転居する権利(破産手続き完了まで)
Bクレジットカードを持つ権利(破産手続き完了後7年間程度)
C自分に来た郵便物を自由に読む権利(破産手続き完了まで)
D弁護士、公認会計士、税理士、弁理士、司法書士、行政書士などの職業に
就く権利(破産手続き完了まで)
E後見人、後見監督人、保佐人などになる権利(破産手続き完了まで)
※破産手続き完了までの日数は約1年
(3)残るもの
@自分自身
A家族
B換金額の低い生活用品(冷蔵庫・洗濯機・タンス・高くないテレビ等)
C選挙権などの公民権
こう見てみると、いわゆる経済的に恵まれた人が手にするもの(マイホームや車、奢侈品)は一気に失い、生きていく上で最低限の家財のみが手元に残ると考えていれば良いだろう。かつ約一年は裁判所の監督下に置かれて身動きが取れず、また当分はローンを組んだり、カードでお気軽に買い物もできなくなる。要するに必要最低限のレベルから再出発しなさいということである。
国が与えてくれたこの機会を有り難く受け止め、多少不自由でも二度と借金の世話にならずに済むような生き方をして欲しいものだ。それが債権者へのせめてもの償いであると考えたい。
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